釧路の裁判例について
シートベルト不着用に関する釧路地方裁判所の裁判例(釧路地判平成26年3月17日) いわゆる被害者側の過失を否定した釧路地方裁判所の裁判例(釧路地裁根室支部昭和59年5月25日判決) 死亡事故の逸失利益に関する釧路地方裁判所の裁判例(釧路地判昭和57年9月29日) 後遺障害等級表第7級の12に相当すると判断した釧路地方裁判所の裁判例(釧路地裁帯広支部昭和56年7月31日判決)
シートベルト不着用に関する釧路地方裁判所の裁判例(釧路地判平成26年3月17日)
タクシーを運転し建物の外壁に衝突した事案について,乗客であった被害者がシートベルトを装着していなかったことを理由に,被害者の過失を認めたものの,被害者が乗客であること,被害者が後部座席に乗車していたことを考慮して,過失割合については,5%とする判断をしました(釧路地判平成26年3月17日)。
いわゆる被害者側の過失を否定した釧路地方裁判所の裁判例(釧路地裁根室支部昭和59年5月25日判決)
いわゆる被害者側の過失とは,被害者と身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者の過失をいうものをいいます(最判昭和42年6月27日・民集21巻6号1507頁)。
被害者側の過失が認められる場合には,ご自身に過失がない事故であっても(たとえば,同乗者であったとしても),過失相殺がされることがあります。
この点について,釧路地裁根室支部における昭和59年5月25日判決は,本事案において,運転していた友人の過失につき,同乗者との関係で,いわゆる被害者側の過失を否定しました。
死亡事故の逸失利益に関する釧路地方裁判所の裁判例(釧路地判昭和57年9月29日)
【事案】
被害者は高校を卒業後,東京デザイン専門学校建築士課に入学・卒業し,その後,東京都渋谷区代々木の建築事務所に就職し,約二か月後に事故に遭い,昭和55年に満20歳で死亡した事案。
【判旨の要約】
本件事故に遭わなかったならば67歳までの47年間就労することができたと推認されること,昭和54年度の男子労働者の毎月きまって支給される現金給与額による平均月収は20万6900円であり,年間の賞与その他特別給与額は67万3800円であることを考慮して,就労可能年数の間を平均すれば少くとも男子労働者の平均賃金以上の収入を得ることができる蓋然性が強いので,同人の死亡による逸失利益の算定には昭和五四年度の全男子労働者の平均賃金を基礎とすべきと判断しました。
そのうえで,逸失利益算定の基礎となるべき年収である315万6600円(20万6900円×12+67万3800円)から,生活費50%を控除し,中間利息控除をホフマン方式によつて計算して(基礎収入315万6600×生活費控除率0・5×就労可能年数47年に対するホフマン係数23・832=3761万4045円),逸失利益は3761万4045円であると判断しました。
後遺障害等級表第7級の12に相当すると判断した釧路地方裁判所の裁判例(釧路地裁帯広支部昭和56年7月31日判決)
被害者の顔面には①眉間部に2センチメートルの線状痕,②右前頭部から右眉毛にかけ1.8センチメートルの線状痕(この内0.8センチメートルが眉毛に隠れている。),③右上口唇に2.5センチメートルの線状痕がある事案において,自賠法施行令別表の後遺障害等級表第7級の12に相当すると認めました。
そのうえで,加害者が,⑴治療費として181万3040円,⑵付添看護料として67万4000円,⑶入院雑費として16万8500円,⑷通院交通費として1万6320円,⑸慰藉料として790万円,⑹弁護士費用として50万円,を認定したうえで,⑺被害者の過失相殺を40%とし,⑻既払金203万2382円を控除した金額である合計461万0734円(⑴ないし⑹の合計1107万1860円×0.6(1-0.4)-203万2382円)を支払う義務があることを認めました。